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理事長挨拶

理事長 北山 禎介

一般社団法人日本アスペン研究所
理事長 北山 禎介

「アスペン」の原点は第二次世界大戦後にまで遡ります。

1949年、人間精神の在り方を問う出発点にしたいと、「ゲーテ生誕200年祭」がコロラド州アスペンで開催され、哲学者オルテガ・イ・ガセットや人道主義者・哲学者アルバート・シュバイツアーなど多数の哲学者、芸術家、文学者等が招かれ対話が繰り広げられました。

この催しは第二次大戦後、科学技術の発達や、経済の発展に伴い、専門化と細分化、職能主義、効率主義、短期利益主義などの追求によって失われていく人間の基本的価値、コミュニケーション、コミュニティを再構築するにはどうすればいいのか、という問題意識を背景に開催されたものです。

特に、「ゲーテ生誕200年祭」における「対話の文明を求めて」というシカゴ大学総長ロバート・ハッチンスのスピーチは大きな影響を与えました。

「われわれの時代の特徴のうち、最も予期せざるものは、人の生き方において、あまねく瑣末化が行きわたっていることである」と人間同士のコミュニケーションの回復をはかり、対話を重ねることの重要性をハッチンスは指摘しました。これを機に、米アスペン研究所が学者、芸術家、実業家たちが日常の煩雑さから解放されてゆっくり語り合い、思索するための理想的な場を提供する組織として設立されました。

この後、70年にわたり、人間、文化、社会、自然、世界の直面する問題を、普遍的価値に根ざして思索し、対話し、理解を深めて、現代的意味を再発見してもらうことをめざしたリーダーシップ・セミナーは、変わることなく開催されております。

このセミナーに大きな触発を受けた経営者によって1998年、日本アスペン研究所が設立されましたが、日本独自のプログラムとそれを支える優れたアカデミアの先生方のご尽力により、拡大を続けております。

現在、企業の幹部層を対象にしたセミナーをはじめ、中央省庁幹部職員向けセミナー、高校生向けのセミナーに至るまで、年間40回を数えるまでに成長を遂げており、日本アスペン研究所の果たす役割は益々大きくなっていると思われます。

アスペン・セミナーの大きな特徴は、古典をもとに対話を重ねていくことによって、ものごとを相対的に捉え、新しいもの、新しい考えをつくり出していくことだと思います。

特にグローバル化が進展する中、世界を舞台に活躍できる人材が求められており、異なる文化や宗教、社会背景を理解したうえで、多様な価値観に適応できる人間力が益々重要になると考えます。

今後、日本の産業界へアスペン・セミナーの更なる普及を図るとともに、世界各国で展開しているアスペン研究所との連携をより強固なものとし、日本アスペン研究所の更なる発展に貢献させていただきたいと考えております。