
これは米国を含めた近代社会が、いつのまにか狭い専門分野にのみとらわれ、社会や人間の生き方の全体像を見失っているという指摘です。それを受けて、米国では、専門家たちが専門性を深めつつも個々の領域に閉じこもったり、堕することのないよう、「古典」を媒介にした高度な知的交流の場として、アスペン研究所が戦後いちはやくスタートしました。日本の場合、主として経済的な強みを短期につくり出しましたが、“技術優先”の世の流れと“即戦力”を求める企業姿勢のなかで、日本的瑣末化と専門化はとどまるところを知らず進んでいます。
日本アスペン研究所は、米国アスペン研究所の活動に触れ、日本人の思考・行動が極端に局地化した技術偏重、哲学の希薄なテクノクラシーから、明確な価値観と目的意識に裏付けられた、より大きくより豊かなものへと脱皮する必要性を痛感していた多くの人々によって1998年4月に設立されました。
当研究所が提供する「エグゼクティブ・セミナー」をはじめとする様々なセミナーは、アスペン精神を尊重しつつ、その卓越したメソッドに則りながらも、日本およびアジアにも配慮した独自のプログラムによるもので、参加者の皆様にセミナーの目的と意義をご満喫いただけるものと確信しています。
社会の専門化・多様化・細分化、その結果としての瑣末化が進めば進むほど、私たちは狭い「技術的」領域にとどまることのないよう、透徹した洞察力とトータルな視点をもって、獲得した技術知を真に人間的な知に高める方途を探りつづけなければなりません。原典や古典に思索の糧を求め、視野を大きく世界に拡げるとともに、その思索に現実を直視する勇気と謙虚さを結びつけ、自らの判断と行動、思想の支柱に磨きをかけていただくことを期待しております。


