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講演会短信~フランシス・フクヤマ氏の講演会を青山学院大学との共催で開催~

2016年05月20日

5月14日(土)、青山学院大学本多記念国際会議場にて、青山学院大学との共同開催第2弾となる講演会が開催されました。今回はスタンフォード大学シニア・フェローのフランシス・フクヤマ氏をお招きし、『民主主義の退行とトランプ現象』をテーマにお話をいただきました。アスペンからは、セミナー卒業生を中心に80名を超える参加がありました。

dummyフランシス・フクヤマ氏

フクヤマ氏は、フレームワークとしての民主主義システムの構成要素、米国民主主義の退行を論ずる前提としての米国行政システムの生い立ち、民主主義のプロセスを妨げる政治的劣化といったことを非常にわかり易く話してくださいました。

印象的だった点の一つは、米国の行政システムの生い立ちについて。お話しによると、米国の行政は、ハーバード大学やイエール大学という建国初期の少数エリートのみによる行政から、有権者との利益交換的な意味合いで身内が行政の仕事に就くという非常にプリミティブなやり方を経て、現在のような専門教育を受けたプロの行政官が行政を担うようになって政府の質が上がった、といいます。いわゆる米国の政治の近代化は、第一次世界大戦の時代を待たなければならなかった、ということです。

講演会場の様子

また、民主主義の退行に関してフクヤマ氏は、二つの政治的劣化に触れられました。一つは二大政党の政治的なイデオロギー、そして、これらを支持する層の二極化があまりにも顕著になってきており、現状では吸収できない中間層が拡大していること。そして、インタレスト・グループの台頭やロビイングによって政治的な意思決定がゆがめられているという事実にも危機感を示されました。

dummy客席の様子。多くの方にご参加いただきました。

トランプ現象に関しては、メディアをはじめとする民主主義政治の抑制機能がまだまだ機能することを信じる、とフクヤマ氏が締めくくられた後も、多くの質問が寄せられ、ゲストや学生も含めた、フロアとの活発なやり取りが行われました。

共催とともに数々のご支援をいただいた三木学長、押村副学長をはじめ青山学院大学の関係各位にあらためまして感謝申し上げます。