1. ホーム
  2. お知らせ
  3. 懇話会短信~『発見と創造の成り立ちを考える~セレンディピティとは何か』 新潟大学 井山弘幸教授による会員限定懇話会を開催~

懇話会短信~『発見と創造の成り立ちを考える~セレンディピティとは何か』 新潟大学 井山弘幸教授による会員限定懇話会を開催~

2019年05月27日

第17回「アスペン・フェローズ」会員限定プログラムが5月22日水曜日、国際文化会館で開催され、およそ40名の会員が参加されました。

dummy

講師は、新潟大学 人文社会科学系の井山弘幸教授。井山先生には、『偶然の科学誌』、『鏡の中のアインシュタイン』、『現代科学論』、『パラドクスの科学論』などのご著書がありますが、こうしたご専門の科学哲学だけでなく、『お笑い進化論』『笑いの方程式』など、「笑い」という柔らかいテーマにも独自の切り口で考察を展開されていらっしゃいます。
講師のご紹介および進行は、村上陽一郎先生がお引き受けくださいました。

今回のテーマは『発見と創造の成り立ちを考える~セレンディピティとは何か』
私たちは普段、発見や発明というものは、天才や俊英の非凡な能力によって生まれるもの、私たち凡人には縁遠いものと考えがちではないでしょうか。
井山先生のご講話では、暗黒物質の発見や冥王星の発見、化学繊維の発明から、ポール・マッカートニーが“Yesterday”を“作曲”したプロセスなど、さまざまな発見や創造の思考プロセスや事例を紹介しながら、むしろ「発見」体験は誰にでも起こりうるものであることを示されました。
また、セレンディピティ、即ち、何かを探求している過程で、探し求めているものではないものを発見する能力についても、豊富な例を示されながら紹介されました。

質疑応答では、『「1ドル入れると、パートナー(夫、妻)が出てくる自動販売機」があったとして、それをさらに進化させるアイデアを考えてください』というアメリカンジョークを例に、視点や思考を転換させることが新しい発見や創造につながることを示されました。ジョークの答え・オチは、ネタバレになるので敢えて書きませんが、「自動販売機はお金を入れるもの」という固定観念をひっくり返したところが、ジョークのキモになっているとのこと。
ユーモアやジョークのなかにも発見・創造の本質を見出すという井山先生の思考こそが、発見・創造の実践例だと感じました。