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セミナー短信~第6回 科学・技術とヒューマニティ・セミナーを開催~

2019年05月28日

第6回「科学・技術とヒューマニティ」セミナーが、5月17日(金)~19日(日)の二泊三日、クロスウェーブ府中で開催されました。様々な企業や公的機関から18名の参加者が集まり、科学・技術とヒューマニティに関する古典、そして近・現代の著名な書物から厳選されたテキストを軸に、三つのセッションで活発な対話が繰り広げられました。

モデレーターは東京大学名誉教授の村上陽一郎先生と、埼玉大学名誉教授の渋谷治美先生。リソースパーソンは上智大学文学部哲学科の荻野弘之先生と科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェローの藤山知彦氏。そして特別参加者には今年のサブテーマである『研究開発と倫理』に相応しいお二人として千葉大学教授・朝日新聞客員論説委員の神里達博先生、東京工業大学リーダーシップ教育院教授兼リベラルアーツ研究教育院教授の札野順先生をお招きしました。

今セミナーは、他のアスペンセミナーと比較して二つの大きな特徴があります。一つは講話会が二つ用意されていること。もう一つは対話の中で、現実に直面している問題・課題に触れた発言が大幅に許容されることです。そして、先のも記しましたが、共通するサブテーマとして今回の『研究開発と倫理』が取り上げられました。

初日の講話は神里達博先生による「科学技術研究とイノベーション」と題して、そもそも出自の異なる科学、技術、イノベーションという概念が如何にして結びついたのか、如何にして科学・技術における倫理を実質的に支えていくことができるのかについて、お話しいただきました。さらに二日目は、札野順先生による「科学技術倫理2.0-人と組織と社会のwell-beingを目指して-」と題して、ご講話いただきました。「よく生きる」ためにどのように行動するか、やってはならないことを強調する「予防倫理」に加えて、科学者・技術者として何をなすべきかを考える「思考倫理」の視点が重要ではないか、といったご指摘とともに、well-beingに関する「科学」的な検討及び最新の科学的知見に基づく新しい時代の科学技術論について考察されました。
二つの刺激的なご講演の後、時間を超過しても活発な質疑応答が展開されました。

今回の感想として、「日本の科学技術政策は経済成長中心で社会問題解決のために科学技術を活用していく視点が少ないことは大きな課題と感じた」「人を幸せにすることが、会社を成長させるという考え方に非常に共感した」「ポジティブ心理学の世界について、非常に良い気づきを得ることができた」とのご意見をはじめとして多数の感想が寄せられました。また、三日間のセミナーを終えた感想としても、「テキスト・お互い・自分・時代それぞれとの対話を通して理解が深まった」「時間を忘れるほど対話に集中した」といったご意見をはじめ、他のアスペンセミナーにもぜひ参加してみたいという声などが寄せられました。

2020年度も5月頃に第7回を開催する予定です。サブテーマとして取り上げるべき課題や講師としてお呼びしたい方のご希望があれば、事務局までご意見をお寄せください。