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ウクライナと日本の駐在大使・識者によるオンライン対話「ウクライナによる自由の防衛」を開催 キーウアスペン研究所と日本アスペン研究所

2022年07月04日

2022年6月23日、一般社団法人日本アスペン研究所(理事長:北山禎介)は姉妹団体であるキーウアスペン研究所と共催で、ウクライナ、日本両国の駐在大使、識者をパネリストに招き、オンラインの対話会を開催しました。青山学院大学の押村高教授(政治学)をモデレーターに、ウクライナがロシアとの戦争に勝つために日本がどのように支援できるか、国際法に違反したロシアの侵攻をどう評価し対応すべきか、国連をはじめとした安全保障の国際的なシステムをどう再構築し戦争を終結させるかなどを巡って、意見が交わされました。

国際司法裁判所元所長の小和田恆氏は、「国連創設に関わった国の一つであるロシアが、国連全てのシステムを無視したことは極めて重く、国連に関わる全世界は国連のシステムを守るためにも今回のロシアの侵攻に対して、各国の安全保障危機管理に対応する観点からそれぞれの立場で立ち上がらねばならない」と述べました。駐日ウクライナ大使のコルスンスキー氏は、大多数の日本人がロシアの蛮行を正しく認識していることに謝意を示し、「この理解は、ウクライナと日本との懸け橋を構築することだけでなく、将来の公正で効果的な安全保障の国際的システムを作り上げることに共同で取り組むために極めて重要である」と表明しました。哲学者でジャーナリストのイエルモレンコ氏は、「ロシアは帝国への野望を持ち続けており、我々は、ロシアの脅威はウクライナへの脅威とだけ考えるのではなく、人類への政治的および道徳的脅威と考えるべきである。現在の状態は、これらに対する我々に共通した責務なのである」と述べました。

駐ウクライナ日本大使の松田邦紀氏は、「今回の軍事侵攻でロシアは国際法に違反しており、国際社会はロシアに重い代償を払わせねばならない」と強調しました。また、日本政府の侵攻初期からの支援に言及するとともに、「日本国民にとって、ロシアによる武力侵略は対岸の火事ではなく自分たちの問題だ。この違法な試みが許され、看過されれば、我々の地域でもまもなく侵略が起きるだろう」と述べました。
元駐米大使の藤崎一郎氏は、民主主義陣営の基盤を広げ、民主主義国家や志をともにする国々が自らの陣営のために戦わねばならないと強調しました。「民主主義を前面に出す現在の米国のアプローチには良い面もあるが、同時に巧妙に進めなければならない。タイやシンガポール、サウジアラビア、メキシコなどの反感を買うことがあってはならず、民主主義陣営をできる限り広げ、これらの国々が両陣営の板挟みにならないようにすべきだ」と主張しました。国会議員でEUへの統合委員長クリンプッシュ-ツィンツァゼ氏は、食糧危機の原因としてウクライナを非難するといった、ロシアの言説に対抗することの重要性を強調しました。また、「この戦争は世界を我々と彼らに分断した。彼らは野蛮で残虐で非常識だが、我々の行動は価値に基づいている。この戦争において、我々にはみな同じような責務がある。世界地図からまた別の国を消そうしている侵略者を必ずや打ち負かさねばならない」と述べました。

併せて、ロシアと隣接する日本においての今回の軍事侵攻の位置付け、この軍事侵攻がウクライナ一国へだけではなく自由と民主主義へ挑まれた戦いであることについても意見交換がなされました。